独航空機搭載レーダー

Lichtenstein BC FuG202

Lichtenstein BC
Bu-110搭載 Lichtenstein BC アンテナ

1940年7月に夜間戦闘の指揮官になったドイツ空軍のカムフーバーはテレフンケン社と航空機搭載レーダーの開発を進めてきた。1941年7月夜間戦闘用の Lichtenstein B/C が完成して,Me-110とJu-88に搭載された。しかし4本のダイポールアンテナが機首から出ているために空気抵抗により飛行速度が遅くなるのでパイロットの評判は良くなかった。連合軍がチャフを使用するようになると,Lichtenstein SN-2 FuG220に更新される。

Lichtenstein BC FuG202
周波数490MHz
出力1.5kW
パルス幅1μs
パルス繰返し周波数2700Hz
探知距離3-4km
最小探知距離150m
距離精度±100m
方向精度±2.5度

Lichtenstein SN-2 FuG220

Lichitenstein SN-2
Lichitenstein SN-2

1943年7月,連合軍がハンブルグ市を空襲する。ドイツはMe-110が迎撃するが,連合軍が撒くチャフによってLichtenstein B/C は使えなかった。このため周波数を下げたLichtenstein SN-2 を1943年に開発してJu-88に搭載する。

Lichtenstein SN2 FuG220
周波数90MHz(37.5MHz-118MHz可変)
出力2.5kW
パルス繰返し周波数292Hz,295Hz,298Hz
パルス幅1μs
最小探知距離1000m
最大探知距離8km

Lichtenstein BC 表示装置
Lichtenstein BC 表示装置


BERLIN N-1A FuG240

英の H2S を捕獲するとテレフンケン社はマグネトロンをコピーしてマイクロ波航空機搭載レーダーBERLIN N1A FuG240を開発し,独敗戦直前の1945年3月にユンカースJu-88Gに搭載するが使われる機会が無かった。

BERLIN N-1A の仕様
周波数3.3GHz
出力15kW
探知距離500m-5000m
アンテナ70cm径パラボラ

BERLIN N-1A
BERLIN N-1A


電波探知機 METOX

英国が対潜水艦レーダー ASV を投入すると,沈められる連合国艦船数は1941年に約10%減少した。1941年6月ドイツは北アフリカで英国の爆撃機ウェリントンを撃墜して,搭載の ASV Mark Ⅰ を発見し,直ぐに電波探知機 METOX (Fu MB 1)を作り全ての潜水艦に装備する。探知周波数は80-330MHzである。

ドイツ電波探知機 NAXOS

電波探知機 METOX を搭載したが,英国がセンチメートル波長のレーダーをすると,独潜水艦は再び発見されるようになる。独軍は捕虜になった英兵から,
「潜水艦の電波探知機の受信機のスーパーヘテロダイン回路から出る微弱電波を探知する装置が出来ている。」
と聞いて,全ての潜水艦から METOX を外す。
1943年2月2日,H2S を搭載したスターリング爆撃機が,オランダロッテルダム市上空で撃墜され,H2S が発見される。
ゲーリングが H2S を見て,
「何てことだ。英国は夜でも我々を観ることができる。」
テレフンケン社が電波探知機 NAXOS を開発する。

電波探知機メトックス
METOX

NAXOS
NAXOS のアンテナ

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佐々木 梗 横浜市青葉区
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